ドイツの衣食住

「衣食住」はドイツじゃ「衣食住休」

衣食住が足りることが生活の基盤と思いきや、ドイツでは衣食住と同じくらい大事なのが休むこと。衣食住が足りるだけでは足りないドイツ人。休という、休暇やバカンスが足りていないとだめ。そのために、休暇にまつわる法律や規則がゴマンとある。

ドイツの「休」

年次有給休暇が6週間法律で保証されているドイツでは、6週間の有給休暇を取ることが労働者の権利というよりはもう義務といっても過言でないほど。6週間の有給取らずに会計年度末を迎えようものなら、上司に呼び出されて注意を受け、年度末にまとめて未消化有給休暇を無理やり取らされたりすることも。部下が6週間の有給を消化していないと上司も自分の査定に影響があったりする。

こうしてドイツ人は休暇が贅沢に与えられるので、どんどん旅行に出る。または休暇を利用して家のリフォームを自分でやる。もしくは、子供や妻や自分の誕生日にも休暇を取ってお祝いする。病欠は有給休暇とは別で、病気で会社を欠席しても有給休暇は減らない。子供のいる人には、自分の病欠以外にも子供が病気の場合の欠席が認められている(年間10日以内で両親のどちらかが取れる)。

優先順位は「住休衣食」

で、「衣食住」に「休」を加えて、ドイツ人の優先順位に並べ替えたら「住休衣食」と答える人が多いと思う。

寒くて暗い時期が長いドイツだから、必然的に家の中で過ごす時間が長く、住空間には気合を入れて投資する。気合を入れて投資した家はいつもピカピカで、室内装飾もバッチリ決まっている家庭が多い。

住の次が休、ドイツ人はバカンスの計画や話題が大好き。今年どこへ旅行にいくかというのは男女を問わず人気度の高い井戸端会議のテーマ。(なのに、友人や隣人や同僚にお土産を買ってくるなんてことは稀。)

その次の衣というところでオモシロイのは、ファッションにはあまり頓着のなさそうなドイツ人、でも衣服にシミがついていたりしたらうるさい。清潔であれば衣服はそれでよろしいという感覚が多数派のよう。最後の食に至っては、日本人の想像を超えるのが夕飯。薄切りの黒パンにサラミとかチーズのスライスのせたものを毎日食べる。毎日同じ冷たいパン食。

だから、子連れのお母さんが夕方6時とか7時にまだ子供と公園で遊んでいる。(冬場は寒いから家の中だけど。)食事の用意が主婦のストレスにならないから、作り置きや常備食などが話題にならない。夕飯が質素だから食費が家計を圧迫ということも日本より少なそう。

「衣食住」 vs 「住休衣食」

「衣食住」の日本と、「住休衣食」のドイツ。キリスト教では神様も6日働いて1日休んだそうだし、休むことが寝るという感覚に近いのである。日本人にとって休むとは寝るというよりは遊ぶというイメージで、must to haveではなくnice to have的な贅沢感がなきにしもあらず。

そもそも、日本人的感覚だと、住に寝るということが含まれていて、ドイツ人的感覚だと住とは起きている時の団らん。この違いはまさに両国民の自宅で過ごす時間の差なのかもしれない(もちろん気候風土が影響して。)

ドイツ人の知人が、衣食住だとライフスタンダードだけれども衣食住休となるとライフクオリティ―だと言ったのが印象的で、日本の生活は大変高いスタンダードを保っているが、クオリティとなるとドイツにはかなわないのである。どちらが良いかは個人の趣向次第。

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪府出身。高校でテキサスの公立高校に1年留学、大学でカリフォルニア州UCSDに1年留学、西ドイツ銀行東京支店勤務後ロンドンビジネススクールでMBA。その後ブラウン社のドイツ本社で勤務、フランクフルト証券取引所に転職。現在フリーランスで国際コミュニケーション指導や通訳をする2児の母、フランクフルト在住。尊敬するのはイソップ寓話”アリとキリギリス”のキリギリス。子供が大きくなってきたので最近キリギリス業再開しました。